仮想通貨のSQと「仕掛け」の関連性 初心者向けコラム2

仮想通貨のSQと「仕掛け」の関連性 初心者向けコラム2

【連載】仮想通貨初心者向けコラム

初心者向けコラム1 ビットコインなど仮想通貨の「先物取引」「現物取引」とは何か


SQは仕掛けを生み、常識を覆す

さて、前回は仮想通貨における先物取引とは何かについて説明しました。今回は重要な「SQ」について説明します。

SQというのは、投資初心者には少し分かりにくい概念です。しかし、これを抑えておかないと今後のビットコインなどの仮想通貨のトレードで勝つのは難しいでしょう。恐らく、2019年以降、仮想通貨の先物取引やETFが一般化していきます。(ETFについては初心者向けコラム第3回で説明する予定です)このような環境において、SQを知らずして勝つ事は難しくなってくるでしょう。

SQとは「買った後には売って利益を出す(逆に売った後には買い戻す)」という大前提を覆す可能性があるトンデモもない制度なのです。例えば、売り仕掛けをして価格を大きく下げたら勝ちというのがまかり通る制度なのです。

仕掛けとは何か

怪しい話ではありません

SQを知るためには、まず「仕掛け」を知っておかなければなりません。

「仕掛け売り」などの言葉を聞いた事があるでしょうか。仕掛けとは、特に悪い材料が無いのに金にモノを言わせて無理やり価格を下げたり、逆に上げたりする事です。

まだ規制の緩い仮想通貨において「この下げは大口が底で買うために売り仕掛けをしているだけだ」だとか、「重要な情報の発表日の前に仕掛けが入る」という言説を見た事があるでしょう。

また、匿名掲示板やLINEなどのツールを使って、怪しい集団が何かしている、という噂を聞いたり見たりした事があるかもしれません。

今回は、そういった真偽不明の怪しい話ではありません。今回説明するのは機関投資家による「仕掛け」についてですから、その手の話は一旦忘れてください。

機関投資家の仕掛けは流動性が必須

さて、機関投資家が仕掛けるためには流動性が非常に重要です。

例えば、資金800万円を使って、1枚80万円のビットコイン(BTC)を10枚買い、100万円になったら全部売り1000万円になりました。これにより200万円の利益を得る事が出来ました。個人の投資家がこのようにトレードする分には、特にビットコインであれば全く問題無いでしょう。

しかしこれが仮想通貨の時価総額が50位のアルトコインならば話は別です。ここでは仮にAコインとします。

このAコイン、時価総額は250億円でランキングが50位なのですが、1日あたりの流動性が3900万円しかありません。そうなると先程のように1000万円分のAコインをを売りたくても売れません。

なぜならば流動性が無いアルトコインは取引所の買い板がスカスカです。もし一気に1000万円分を売ったら価格がどんどん下がってしまい、赤字に転落するでしょう。これが流動性が無い事の怖さです。

機関投資家は億単位での売買が基本ですから1日の流動性が数千万円では話になりません。(ちなみにビットコインの1日あたりの流動性は5800億円程度あるようです)

アルトコインでの機関投資家の仕掛けはあり得ない

仕掛けるためには大量に買う事が重要です。しかし、買った後は売らなければ利益になりません。流動性が無ければ売るに売れないという事態になってしまうので、大きな売買が出来ないという事になります。

機関投資家の立場になって考えれば、流動性の無いアルトコインで仕掛けるにはリスクがありすぎる事が分かると思います。もちろん、そもそも機関投資家がアルトコインを扱うような環境が整っていないというのもあります。(先物もETFも無いですし、まさか機関投資家が一般ユーザーと同じように取引所で売買する訳がありません)

ですから、アルトコインで「大口が仕掛けている」「鯨が来た」などの真偽不明の情報が流れている事がありますが、機関投資家はありえません。流動性が低い通貨では、数百万円程度を動かす個人投資家が「大口」と呼ばれるかもしれませんが。しかし冒頭でも書いた通り、その手の話は忘れてくださいね。

なぜ機関投資家は仕掛けるのか

さて、いよいよSQについての説明です。前回のコラム(ビットコインなど仮想通貨の「先物取引」「現物取引」とは何か)において、先物取引は清算日がある、という事を説明しました。

その清算日の決済する価格の事をSQ(Special Quotation)と呼びます。

このSQがある日は仕掛けが発生しやすいのです。(理由は後述します)

さて少し話を戻して「仕掛け」の説明において、機関投資家が仕掛けるとしたらアルトコインはあり得ないと説明しました。ではビットコイン(BTC)で仕掛けが入るとしましょう。これも説明した通り、ビットコインは流動性の高い通貨です。ちょっとやそっと買ったり売ったりする程度では価格に影響が無いでしょう。

では、機関投資家が仮に100億円の売りを仕掛けたとしましょう。一気に100億円も売りが入れば価格は大きく下がるでしょう。しかしここで問題が生じます。売った以上、今度は100億円を買い戻さなければいけません。ビットコインの価格が下がったのでここが押し目とばかりに個人の投資家が買ったりもするでしょうし、結局100億円買い戻す間に価格が騰がってしまっては逆に損をしてしまいます。

投げ売りやロスカットなどを巻き込んで価格が大きく下がってくれれば良いですが、そんな運任せのトレードを機関投資家がしていては、いつか破産してしまいます。では、なぜ機関投資家は仕掛けるのでしょうか。

売っても買い戻さなくて良い。それがSQの怖さ

SQという仕組みにおいて、「買ったら売る」「売ったら買う」という常識は覆されてしまいます。

例えば先程の例で、SQがある日に機関投資家がビットコインで100億円を売り仕掛けます。ビットコインの価格は大きく下がるでしょう。そしてその下がった価格がSQ値となれば、100億円はSQ値で決済可能なのです。

つまり、100億円を市場で買い戻す必要は無いのです!

金にモノを言わせて強引に売り仕掛け、SQ値を下げた価格にする事が出来れば、その下げたSQ値で100億円を決済出来る。こんな強引なプレーがまかりとおるのです。

例えば1BTCが100万円の時に100億円分の売りを仕掛け、1BTCを90万円まで暴落させたとします。そしてその価格のままSQを迎え、90万円がSQ値となれば、もはや翌日以降のビットコインの価格はどうなっても関係ありません。市場で100億円分のBTCを買い戻す必要は無いのです。

結果として、90万円のSQ値でビットコインを買い、100万円で売ったという結果だけが残ります。

もちろん、いつでも仕掛けが出来る訳ではありません。SQがある日でないと、仕掛ける意味がありませんから。だからSQがある日は注意が必要なのです。もちろん、売り仕掛けだけで無く買い仕掛けもあり得ます。

コンピューターのトレード(BOT)も動員して価格は操作し放題

さて、カネにモノを言わせたパワープレイがまかり通る仕組みがあるのであれば、資金力があればある程有利ですね。機関投資家Aが100億円の資金で売りを仕掛けても、機関投資家Bが500億円で買いを仕掛ければ勝負になりません。つまり、このような札束の殴り合いにおいて個人の投資家は全くの無力です。

しかも、この時の売りや買いは、特に何も材料が無い中で行われるので、ポジティブな材料など無くても騰がりますし、ネガティブな材料など無くても下がります。もちろん、チャート上のテクニカルなども全て無視です。サポートラインが云々など関係ありません。ですから基本的には個人の投資家はこのような相場には手を出さない方が無難だと思います。

更に悪い事に、このような仕掛けにはコンピュータートレード(BOT)が導入される事が殆どです。BOTは、超高速のトレード(1/100秒以下、マイクロ秒の世界)で売りや買いのオーダーを出せます。仕掛けが入っているという事は、値動きが非常に荒れている状態です。そのような状態でキーボードで数値を入力してマウスを操作する人間が勝てるはずありません。

少し話はそれますが、このような超高速トレードの世界において、アメリカ株の取引をする際には日本に居住している時点で勝ち目が無い、ニューヨーク証券取引所に近い方が有利だという笑い話すらある程です。

(※日本からアメリカ株の取引のオーダーを出しても、光ファイバーでデータが送信されている間にアメリカからのオーダーが通ってしまい勝ち目が無い)

まとめ

このように、SQがある日は特にデイトレードやスキャルピングは余程腕に自信が無い限りは避けた方が無難です。このコラムを書いている時点では、ビットコインの先物取引はまだそれほど金額が大きく無いため、SQがあってもそれほど価格の変動は無いでしょう。しかし今後はどんどんと機関投資家が参入してくるという観測があります。

特に2019年以降は、SQを意識しておいた方が良いでしょう。

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